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茶仏

お茶と寺廟のある風景

四六判 変型 並製

定価1680円(税込)

中国茶芸師(ちゃげいし)〔中国茶に広く知識を有する〕資格を持つ宝迫さんは、中国茶に限らず、さまざまなお茶の歴史や文化に興味を抱き、カメラを片手に世界各地を訪ね歩いています。
仏教とお茶の深い関係、そしてお茶の魅力について伺いました。

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お茶に興味を持ったきっかけを教えてください。

きっかけは中国茶からでした。十数年前、語学留学で中国を訪れた私は、慣れない土地で多くの人に助けられました。そうした人びとの傍(かたわ)らにはいつもお茶があったのです。寮で私のお世話をしてくれたワンさんは、コーヒーの空き瓶にジャスミンの茶葉がそのまま浮かんでいるお茶を常に携(たずさ)えていました。
旅の車中で親しくなったおじさんも、車窓にお茶の瓶を置いていました。窓辺でユラユラとゆれる茶葉とその向こうにある田園風景はとてもマッチしていました。フタ付きの空き瓶に茶葉を入れお湯を注ぎこむ。そうして仕事場や旅先にお茶を持っていくのだそうです。
そのスタイルはなんとも素朴で、人前で飾らない中国人の人柄とともに、私の印象にとても残ったのです。それが、中国茶に親しみを覚えるきっかけでした。

タイトル名「茶仏」は、お茶と仏教の深い関係性を表現したものなのですか?
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そうです。中国の一説によると、その起源は、王さまが、国を治める手段として、外来の宗教であった仏教を保護し根付かせるために、仏教僧たちに無税の対象として茶葉作りを推進し、それを収入源にさせたのが始まりだといわれています。
また達磨(だるま)大師の伝説にも描かれていますが、お茶の薬効には、血行促進、疲労回復、眠気予防の効果のあるカフェインや、癒し効果のあるテアニンなど、厳しい修行をする僧たちの生活にはとてもマッチした飲み物でした。そうした薬効も手伝って、仏教と深く結びついていったようです。
しかし、お茶と仏教が深くかかわるようになったのは、人をもてなしたり、人と人とをつなぐコミュニケーションの役目をはたしてくれるところにもあったのではないでしょうか。
禅語に「喫茶去(きっさこ)」という言葉があります。直訳すると「よく来てくださいました。まあお茶でも一服どうぞ」。それは、差別なく、誰に対しても、真心から接することの大切さを表わした言葉です。僧たちはお寺を訪ねてきた人びとに、豪華な料理の代わりに、手作りのお茶を真心こめて煎(い)れ、もてなしました。その心をいただいた人びとは、心癒され、その味は忘れられないものとなる。そうして、仏教とともにお茶も広がり、日本の私たちがおいしくいただいている。
一杯のお茶が仏縁を広げる一助になっている。そう思うとロマンが広がります。私も旅先で、さまざまな人からお茶とともに温かな心をいただきました。そのことでますます、お茶が好きになっていったように思います。最澄(さいちょう)がもたらしたお茶で現存するものや、辺境の地で少数民族が守り続けているお茶など、珍しいお茶をたくさん紹介しました。
この本をきっかけに、お茶の歴史とともに、その魅力を知ってくれたらうれしいと思っています。

宝迫 典子(ほうさこ のりこ)

中国語圏の書籍の紹介に力を尽くす一方で、中国政府認定評茶員・茶芸師としても活躍。本書は、翻訳本を除く処女作。
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