
学術的な研究業績を踏まえ、仏教史の新たなスタンダード創出をめざした執筆者たち。刊行に寄せ、執筆に込めた思いを綴ります。
10年以上前、ある出版社に頼まれて『仏教入門』を書くことになった。
日本中世仏教史を専門とする私は、インド・中国・韓国・南アジア・チベットといった、日本以外の仏教の展開をも調べざるを得なかった。その際、旧版のアジア仏教史は本当に重宝したものである。しかし、それは40年ほど前の刊行物で、現在においては問題がないわけではない。
そこで、この新版のアジア仏教史が、旧版を超えるべく気鋭の執筆陣によって書かれた。私が、編集のお手伝いをした『躍動する中世仏教』の刊も、通説の変化に対応した叙述になっており、日本中世仏教史研究の現在を知るうえで必読のものであろう。
とくに、中世仏教といえば鎌倉新仏教という古い図式に囚われている人にとっては、旧仏教や旧仏教改革派とされた仏教者に大きな光が当てられた本巻には大きな衝撃を受けるはずだ。